中赤外線波長での大部分の金属に対する十分な吸収特性を持つファイバーレーザーは、レーザーマーキングアプリケーション向けとして魅力的です。IPGフォトニクスのQスイッチタイプおよびCWレーザーのビーム品質、コンパクトな設計、メンテナンスフリーの操作は、広範なアプリケーション向けに設計されており、ほとんどのマーキング要件に適合します。
最大10 mJのパルスエネルギーおよび最大200 Wの平均出力によるQスイッチタイプのファイバーレーザーは、ほとんどの材料をマークする場合に使用できる最大出力およびナノ秒パルスを供給します。この最大出力では、金やアルミニウムのような反射性素材のマーキングも可能です。例としては、頑丈なギアや自動車部品への深い恒久的なマーキングがあります。
CWシングルモードファイバーレーザーは、金属に対するいくつかのマーキング要件に対応しています。高速高品質で、浅い非侵入型のマーキングが必要な場合に、CW出力は重要です。
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金属の種類
ステンレス鋼
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カーボンスチール
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金・銀 |
アルミニウム
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工具鋼
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ニッケル合金
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真鍮・銅 |
チタン |

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ポリマーのマーキング加工は、完成品のポリマーを構成する基材、添加物、その他の成分に大きく依存します。つまり、ポリマーをマーキングできるかどうかはひとまとまりの製品間で異なり、特定コンポーネントの他の領域で異なる場合もあります。そのため、この加工には、それぞれのマーキングアプリケーションに固有の設定が必要です。
IPGの1ミクロンQスイッチタイプレーザーのビーム品質、マーキングコントラスト、加工速度は、広範なアプリケーション向けに設計されており、ほとんどのマーキング要件に適合します。通常の1 mJのパルスエネルギーを供給するQスイッチファイバーレーザーは、多くのポリマー素材をマークするために十分な最大出力を供給します。高出力密度によって、ナイロンやウレタンなど、従来困難であったポリマーのマーキングが可能になります。可変パルス長レーザーによって、ポリカーボネートの表面下のマークのように、特に環境の影響を受けやすいマーキングアプリケーションで必要となる付加的レベルの制御を行うこともできます。両方のレーザータイプとも、良好な品質とコントラストを達成するために、付加的に強化されたプラスチックをマークする場合にも非常に適しています。
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グリーンおよびUVナノ秒パルスレーザーにも、最低限の熱入力しか必要としない非常に限定的なポリマーのマーキング用のアプリケーションがあります。このアプリケーションで最もよく知られているのは、二酸化チタンが充填された(白い)ポリマーのマーキングのためにUVレーザーを使用することであり、この場合、良好なコントラストによって見た目の美しいライトグレーのマークを作成できます。
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ポリマーの種類
ポリカーボネート
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熱可塑性ウレタン
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ナイロン
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ポリプロピレン
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ポリエチレン(HDPE、LDPE)
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ABS |
各アプリケーションに適したマーキング加工の開発では、材料に関して考慮すべき事項がいくつかあります。材料のタイプ、色、表面仕上げです。これらの要件と環境的考慮によって、マーキングや彫り込みの方法が決まります。レーザーマーキングで一般的に使用されるテクニックは以下の4つがあります。
マーキングと彫り込みの技法

レーザーエングレービングまたは気化は、気化と溶解放出を組み合わせることによって得られる材料除去の非接触式加工であり、高品質の仕上げおよび最大0.5 mmに制御された深さを実現します。レーザーエングレービングは、工業、自動車、および航空宇宙のコンポーネントのコスト効率の高い加工であり、レーザーマーキングソフトウェアの柔軟性によって、精密な工芸品、テキスト、またはグラフィックを作成できます。機械加工での利点としては、設定コストと加工時間の大幅な削減、精密なエングレービング、および局面上での彫り込み機能があります。

表面コーティングの除去は、気化によるエングレービングと同様に、基板の表面コーティングをレーザーで除去する加工です。この方法で、下の基板に影響を及ぼさずにすぐれたコントラストを作成できます。このレーザーマーキング方法は、コーティング、塗装、その他の表面処理で効果的に機能します。表面コーティングの除去は、通常は陽極酸化アルミニウム、被覆金属、フィルム、箔のマーキングに利用されます。

暗色マーキングは、金属(大抵の場合ステンレススチール)のマーキングに使用される、よく知られている加工であり、ここでは表面を過度に溶解または崩壊させることなく、暗色酸化コーティングが施されます。この技法は誤ってアニールマーキングと呼ばれることがありますが、表面にあまり粗さがない表面をマーキングする場合に非常に利点があります。この加工を指定すると、基板上に色および複雑な細部を作成できます。マーキング加工では材料を除去しないので、基板の重要な機能や、ステンレススチールのような金属の耐腐食性に影響を及ぼすことはありません。

ポリマーの腐食またはレーザーマーキングは、炭化や発泡のような、レーザーで誘起されるさまざまなメカニズムに依存します。炭化(熱化学加工)では暗色マークが生成されます。発泡とは、材料内で気泡を生成する部分分解であり、散光させて明色のマークを生成します。添加物をポリマーに包含させると、吸収が増加し、マークの化学的性質が微妙に変化するので、マーキングを改善することができます。