分光法

レーザー分光法はレーザー光の波長に応じて物質とレーザーの相互作用を研究する広い分野のことで、基本的な粒子から星までのあらゆる規模で物質の特性を詳しく調査するために使用されます。

 

IPGの分光法レーザーの機能:

• 紫外線から中赤外線までの波長

• CWレーザー、ns、ps、fsパルス

• mWからkW超までの平均出力

• 固定周波数またはチューニング可能光源

• 単一周波数からブロードバンドまで

• 優れた方向安定性

• 優れたビームモード

raman spectroscopy in the biopharmaceutical industry  

ラマン散乱は非弾性の光散乱プロセスで、光励起とそれに続く分子分極の変化に従って検査対象分子の振動「指紋」を測定する非破壊技法を備えています。1928年に最初に発見された後、科学的な多用途性により芸術、考古学、生命科学、分析化学、固体物理学、液体および液体の相互作用、ナノ材料、相転移、薬剤研究、科学捜査に広がるアプリケーションでよく知られるようになりました。例えば、ラマン分光法は、薬剤成分の識別が決まることのあるバイオ医薬品産業や、ウェハーの純度が調査されることのある半導体産業や、爆発物の検出が監視されることのある科学捜査において、ツールとして広く利用されるようになりました。

ラマン分光法では、対象となる分子の励起プロセスを開始するために、異なる波長のレーザーを使用することができます。このような励起分子の大多数は同じエネルギーの弾性のあるレイリー散乱として光を散乱させますが、選ばれた少数は軽減中に振動状態が基底電子状態まで変化し、それに伴って振動モードのエネルギーを特徴とする散乱光のエネルギーが変化します。これがラマン効果です。IPG Photonicsでは、従来のラマン分光法研究用のUV-可視光線-IR波長にまたがる一連の連続波レーザーと、最先端のフェムト秒励起ラマンのための中赤外線CLPFを含む超高速パルス状レーザーを用意しています。このようなレーザーシステムは表面増強ラマン分光法(SERS)の場合と同様に、プラズモン基板の励起にも使用できます。

ラマン分光法は、半導体と超伝導体から、製薬、医療、光通信、学術研究まで、多様な分野で広く使用されています。

   Raman spectroscopy

実験室の研究のフレームワーク内で、超高速タイムスケールで従来のレーザー分光法を研究するにはポンププローブ分光法の概念を利用します。この一般的な手順では、2つのフェムト秒またはピコ秒の可視光パルスが必要です。対象となるサンプルを励起する(「ポンプ」)ものと、サンプルの脱励起を監視(「プローブ」)するもので、空間的にも時間的にも重ね合わせるために両方が必要となります。光遅延線はプローブパルスがたどる経路を効果的に長くすることができ、それによってポンプパルスに関して時間的にも遅延させることができます。ポンプパルスで分子が励起されるとき、増大したプローブパルスの遅延により励起電子の減衰が監視されます。ここから、対象となるサンプルに対する動的で時間分解されたデータを取得し、分析することができます。ポンププローブ分光法は一般的に、光誘起励起の後の可飽和吸収体の回復を監視し、化学反応の時間的特徴、または分子から分子へのエネルギーの移動を測定するために使用されます。この情報に基づいて、光触媒反応、光電気化学、太陽光発電などの幅広いアプリケーションのために、研究された材料を設計、合成、導入することができます。ポンププローブ分光法技術を利用する主な分野は学究的環境、航空宇宙、冶金学、バイオフォトニクス、顕微鏡法、医療です。例えば、太陽電池材料の効率は、重要な励起再結合動力学、またはクリーンな燃焼の液体水素燃料を生成する加水分解材料の電化担体再結合の効率の監視を通して、このようなポンププローブ技術によって特定されることがあります。

  pump probe spectroscopy

ポンププローブ分光法を利用した動力学の研究により、対象となる材料の特性についてより深く、根本的な洞察が得られます。動的な測定として、定常状態の測定を捕捉する情報が得られます。これらのことを考慮して、IPGではフェムト秒の時間分解能で前述のアプリケーションを極限まで研究するのに適切なフェムト秒(またはピコ秒)のパルス幅およびパルスエネルギーを備えた、波長が355 nm~1.5 μmのパルス状ファイバーレーザーを用意しています。

scientists using ring-down spectroscopy  

キャビティリングダウン分光法は、光の散乱と吸収が発生する材料の光減衰の大きさを求めることができる光学技術です。気相研究の分野に幅広く利用されるようになっていて、ここでは気体試料が1兆分の1(ppt)レベルまで定量化できます。このような実験で、レーザーは光キャビティに光を当てるのに使用され、キャビティモードを使用した共鳴では建設的干渉によりレーザー光量が増大します。レーザーがオフに切り替わると、指数関数的に減衰する光量が測定されます。このアプリケーションは、技術固有の高い感度のため、特に環境の監視、放射の監視、バイオ医薬品の製造に適しています。特に、温室効果ガスの測定は、自動車のエンジンから化学処理プラントまで、「環境保全」を意識した技術の構築に貢献してきました。

キャビティリングダウン分光法は光が気体材料に吸収されるという事実に立脚しているため、また気体ごとに吸収するときの波長が異なるため、このような実験を遂行するには異なるレーザー波長が必要となります。そのため、IPGは気体の吸収のためにアプリケーションに求められる条件に対応可能な、幅広いCWレーザーを用意しています。大部分の一般的な気体は、IPGの中赤外ハイブリッドレーザーなどの中赤外波長で独自の吸収スペクトルを持っています。

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